社長のブログ

<プロフィール>大手不動産会社で長年、オーナー様に対して不動産の有効活用を企画、提案する業務に従事。札幌支社から福岡支社への転勤を契機に独立。平成11年(株)福岡シティを設立、現在に至る。趣味は歴史。司馬遼太郎記念館友の会会員。

「映画『峠』を観て」(令和4年8月10日)  

先週の木曜日、中洲大洋劇場で、司馬遼太郎原作の映画「『峠』最後のサムライ」を観てきました。

 

戊辰戦争の戦闘のひとつである北越戦争が舞台で、幕末の風雲児、河井継之助の活躍を、役所広司の主演で映画化した作品です。

 

北越戦争で、軍事総督の河井継之助率いる長岡藩は徳川家に対する忠義から旧幕府側として奥羽越列藩同盟を結んで新政府軍と戦い、奮闘の末に敗れますが、継之助も銃創を負って落ち延びる途中で亡くなります。落ちる途中の峠道で継之助は「八十里腰抜け武士の越す峠」という自嘲の句を詠んでいます。

 

河井継之助についてはちょっとした思い出があります。

 

20年以上も前の事ですが、仕事の関係で、何度か渡辺通にあった公益法人の理事長様(A様と仮称します)とお会いしたことがあります。

A様は丸刈りで、古武士然としたご老人でしたが、歴史に詳しく、いろいろ教えて頂きました。そのお話の中で幕末の英傑の一人として、映画「峠」の主人公である河井継之助の名前も出ました。

 

そのときA様が河井継之助に関連して次のような趣旨の発言をされたことを記憶しています。

「腐敗した平安末期の貴族社会の底辺で「武士」が育ち、やがて鎌倉幕府を樹立して、武士の時代が始まり、私利私欲を恥とする「名こそ惜しけれ」という現代まで受け継がれる日本人の倫理観が生まれた。しかし、今の日本をみると、そういう気概が廃れ、私利私欲の国になってしまった。このままでは日本は衰退して滅びる。」

 

私が「日本は滅びますか?」と聞きなおすと、A様は「当然だよ!」と吐き捨てる様に言われました。

あれから20年以上が経過して、世間の様相はずいぶんと変わってしまいましたが、もし今、A様に対して同じ質問をしたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?