『序の舞』(令和5年3月15日)
先日、『上村松園画集』を買いました。絵画教室に通っている7歳の孫娘の教材にと思って買ったのですが、自分で観賞しています。
上村松園は明治八年(1875年)京都で生まれ、幼少のころから画才に秀で、美人画で名を成して、戦後、女性初の文化勲章を受章しています。
画集を通覧すると、一貫して美人画を描き続けています。「初々しい花嫁」「内気でしとやかな娘」「子を抱く慈愛に満ちた母親」等々と主題は様々ですが、どの女性も優美で品性があり、女性美に対する松園の強いこだわりが窺えます。
なかでも『序の舞』は、松園が晩年(61歳)に発表した作品ですが、会心の出来だったのでしょう、「私の理想の女性の最高のもの」「優美のうちにも毅然として犯しがたい女性の気品を描いた」と自画自賛しています。
『序の舞』が発表される2年前、葉茶屋を営みながら生涯彼女を支え続けた、唯一無二の理解者、彼女にとっては菩薩様のような母親仲子が亡くなりますが、『序の舞』は、その深い悲しみを乗り越えようとする強い意志の中から生まれた作品だと思います。